猫の慢性腎不全では、
さまざまな症状が見られます
が、嘔吐や下痢など飼い主
さんが気付きやすい症状も
あります。
腎臓は泌尿器なのになぜ
下痢や嘔吐など消火器症状が
出るのか?不思議に思う方も
おられるようです。
そこで今回は慢性腎不全を
患う猫さんに見られる下痢や嘔吐
の症状の原因や対処(治療)など
についてまとめてみました。
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猫の慢性腎不全では、さまざまな
合併症が見られますがその一つが
消化器疾患で、嘔吐や下痢、
また便秘などの症状が見られます。
腎不全のステージにもよりますが
嘔吐は30~50%、下痢は5~10%
ほどで見られる症状ですがその
頻度や程度には個体差があります。

<腎不全と消火器疾患>
通常に機能している腎臓では、
体内の有害物(毒素や老廃物など)
をろ過し、効率的に体外へ排出しています。
しかし慢性腎不全では、この機能
が低下するため、体内に不要な
老廃物や毒素が残ってしまいます。
この毒素が消化管を刺激すること
によって、消化管の運動異常
が起こります。
そして上部消化管(胃)では、
胃の内容物の排出が遅延(消化に
過度の時間がかかる)し、それに
よって吐き気や嘔吐などの症状
が起こります。

そして下部消化管(腸)では、
腸管の蠕動(ぜんどう)運動が
異常になり、下痢や便秘、腹痛
などさまざまな症状が引き起こ
されます。
また、慢性腎不全になると
胃粘膜の血流量や酸素供給量が
低下することが分かっていて
粘膜障害(胃や十二指腸潰瘍など)
も引き起こしやすいとされています。
腎不全の猫さんに嘔吐や下痢など
の消火器症状が起きるのはこれら
が原因となります。
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<下痢や嘔吐などの予防や治療について>
原因が排泄されずに溜まった体内
の毒素ですので、基本的には、
腎機能を補助する通常の腎不全の
治療が行われます。
腎臓の数値が悪くなってくると
さらに嘔吐や下痢がひどくなって
くるため、皮下補液の頻度を
増やしたりなどでなるべく機能
低下を抑制することで嘔吐、下痢
への対処、予防にもなります。

しかし、それだけで症状が
治まらない場合には、対処療法
として注射や投薬などの治療が
必要になります。
状態にもよりますが、嘔吐に
対して良く使用されるのは、
消化管運動改善薬で、
*プリンペラン(内服・注射)
*プロナミド(内服のみ)
また胃酸分泌の抑制・粘膜保護で
*タガメット(内服・注射)
などです。
また、下痢の場合には下痢止め
として、
*ロペミン(内服のみ)
*タンナルビン(内服のみ)
などです。
<まとめ>
嘔吐や下痢のお薬は薬の特徴や
副作用などもありますので、
腎不全の猫さんの場合には、
市販のお薬を与えるのは控えた方
が良いですので必ず病院で相談
してください。
また、症状には個体差はあります
ので、状態によってはあえてお薬
の投与は行わない場合もあります。
ですから嘔吐の回数や状態(どんな
時に吐くか)、同じく下痢の回数
や便の状態(水下痢、未消化、血便
など)を良く観察し、獣医師に
伝える必要があります。
また、定期的な血液検査(腎機能)
で体内の毒素の状態をチェック
していくことで、嘔吐や下痢が
起こりやすくなる状況を把握する
こともできます。
すぐに受診できない場合なども
あると思いますので予備として
嘔吐や下痢のお薬を処方して
もらっておくと安心だと思います。