メス猫には避妊手術を!
猫を飼ったら不妊手術を
受けさせましょう。
オスは去勢、メスは避妊というのが
今は当たり前のようになってきています。
手術というとやはり怖いイメージ
もありますが、受けることの
メリットの方が断然大きいです。
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愛猫さんのストレスを減らし、
健康で長生きしてもらうためにも
不妊手術が必要なことは言うまでもありません。
そして、動物医療も日々進化を
遂げています。
より安全に、より動物の負担を
減らすための治療技術、機材なども
進歩しています。
メス猫の避妊手術も腹腔鏡での
手術が可能になっています。
もちろん、まだ腹腔鏡手術を行う
病院は多くはありませんが、今後
増えていくものと思われます。
人間の医療ではがん治療やさまざまな
手術で腹腔鏡が使用され、患者さん
の負担軽減に大きく貢献していますよね。
こちらでは、腹腔鏡を使用しての
猫の避妊手術について通常の手術法
との違いや手順や方法、費用、また
メリットデメリットなどについてまとめてみました。

<腹腔鏡手術とは>
腹腔鏡はお腹の中(腹腔)をテレビ
カメラに映し出し、その映像を
見ながら、細く特殊な鉗子やメスを
挿入して手術を行う方法です。
出展:https://www.olympus.co.jp/
通常の開腹手術の場合は、
目視によって臓器を確認、指を
入れて手術を行うため、ある程度
の視野が必要です。
お腹の真ん中(ヘソより下)を
切開しますがその範囲は、
一般的に2cm~5cmになります。
(獣医師の技術によっても大きさは
変わります)
これが腹腔鏡手術の場合は、
カメラ挿入ヶ所、鉗子やメスなど
の挿入ヶ所の計2~3ヶ所を1ヶ所
あたり3~5mm程度の切開のみで行えます。
そのため、開腹というイメージが
少なく、もちろん傷口も小さいため
術後の負担も最小限に抑えることが
できる術式になります。
避妊手術の他、膀胱結石の摘出、
オス犬や猫の腹腔内停留精巣の
摘出、各臓器の生検や摘出なども
腹腔鏡にて行えます。(病院によって異なる)
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<腹腔鏡手術の手順>
基本的に手術以外の手順に
ついては通常の手術と同じです。
全身麻酔をかける
↓
毛刈り、消毒(お腹全体)
↓
各モニター装着
↓
お腹の真ん中に穴をあける(切開)
↓
穴からトロッカー(筒)を入れ炭酸
ガスを入れる(視野を確保するため
お腹を膨らませる)
↓
トロッカーにカメラを入れる
↓
他の穴もあける(手術器具の穴)
↓
モニターを見ながら手術
(卵巣切除→子宮切除)
↓
切除した子宮卵巣を穴から取り出す
↓
切開部分を縫合して終了
(各部位一針程度)
↓
麻酔から覚醒
手術にかかる時間は獣医師の技術に
よって大きく変わりますが、慣れて
いる先生だと通常の開腹手術よりも
早く終えることができます。
(20分前後)
しかし、まだ経験の少ないような
先生の場合には、通常の開腹手術
よりも時間がかかることもあります。
(40分~)
また、通常の開腹手術より、
器具の準備、セッティングに少し
時間がかかる場合もあります。
全身麻酔については方法やリスク
など通常の手術と同じです。

<腹腔鏡手術のメリットデメリット>
『メリット』
*傷跡が小さい
通常の開腹手術に比べると
半分~三分の一程度の傷です。
*痛みが少ない
傷の小ささもですが、お腹の中で
手術が完了するため、臓器を引っ張り
出したりしないので術後の痛みが少ないです。
*術野やお腹の中が良く見える
拡大して見ることができるため、
肉眼よりも鮮明に見えるため、
手術が行いやすく、また開腹では
見にくい部位も見ることができる
*お腹の中の環境を保てる
臓器が外気に触れることなく
湿潤環境を保ったまま手術が行える
ため、術後の胃腸の回復も早く、
臓器の癒着も少ないです。
*縫合糸による組織反応の心配がない
通常の手術では臓器の切開部を
糸で縫合しますが、腹腔鏡の場合
超音波メスで切開、凝固を行うため
縫合の必要がありません。
*入院期間が短い
病院にもよりますが、猫の負担が
少ないため、日帰りで行うところ
もあります。(開腹は通常1泊入院)
『デメリット』
*費用が高い
特殊な器具や技術が必要で、通常の
開腹手術よりコストがかかるため、
費用が高額になります。
*手術時間
場合によって手術時間が通常の
開腹よりも長くなることがあります。
*合併症
腹腔鏡手術特有の合併症を起こす
可能性があります。
(炭酸ガス注入に伴う皮下気腫、
空気塞栓、トロッカー挿入に伴う
臓器損傷や抜去時の出血など)
*開腹への切り替え
なんらかの原因で臓器癒着がある
場合など腹腔内の状態によっては
腹腔鏡での手術が行えず、開腹手術
に切り替える場合もあります。
<腹腔鏡による避妊手術の費用>
猫の避妊手術は病院にもよりますが
通常の開腹手術で30.000円前後が
平均的な相場です。
腹腔鏡の場合には、これにプラスで
20.000~40.000円程度上乗せで
設定している病院が多いです。
ですから安くても50.000円以上は
必要になります。

<まとめ>
まだ、腹腔鏡手術を行う病院は
少ないです。
専用器具の装備はもちろん、
特殊な技術をマスターしなければ
いけないため、ある程度大きな規模
の病院で獣医師の人数も多いところで
ないと実践は難しいようです。
ただ、動物医療の進化も目覚しい
ものがありますので今後少しずつ
増えて行くとは思われます。
費用は高額ですが、避妊手術は
一生に一回のものですし、健康な
体にメスを入れるわけなので少し
でも負担を少なくしてあげたいですよね。
また、日帰りできれば猫さんの
ストレスも軽減できますし。
愛猫さんの避妊手術を控えて
おられる方でで腹腔鏡手術を
お考えの方は、実施している病院
を良く調べてみて、かかる時間や
費用など、しっかりと確認してくださいね。
技術的な面も含め、ある程度の
頭数をこなしている先生であれば
安心だと思います。
せっかく、負担軽減のためにと
高額の費用支払っても腹腔鏡手術
お願いしても、慣れない獣医師に
当たって長時間かけられるのもイヤですから。。