猫の寄生虫にはさまざまな
種類があります。
便と混ざって一緒に出てくる
場合もあれば、嘔吐物に混ざって
いることもあります。
また寄生虫によって下痢や嘔吐など
消化器症状を起こすものもあれば
目立った症状は出ないものの栄養
状態が悪く痩せてきたり・・
などなどさまざまです。
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白く平べったい虫!?
そんな猫に付く寄生虫の中で
比較的特徴的でその大きさや形態
にビックリしてしまうことの多い
のが『条虫』と言われるいわゆる
サナダ虫です。
白くて平べったく長い・・
きしめんのよう・・と良く形容
されます。
今回はこの条虫について詳しく
まとめてみました!
猫に寄生する条虫は2種類います。
*瓜実(うりざね)条虫
*マンソン列島条虫
です。
どちらも白く平べったく長く
きしめんのような形状をしています
が、基本的に大きさ(長さ)が全く
違います。
また、感染経路も異なります。

<瓜実(うりざね)条虫>
瓜実条虫は猫(犬)に比較的良く
見られる寄生虫です。
瓜実条虫の成虫↓
出典:http://www.showavet.com/
体長50cmにもなるサナダムシの
仲間で腸の粘膜に体を固定し、
体の表面から栄養分を吸収します。
*感染経路
中間宿主であるノミを経口摂取
することで感染します。
条虫の卵をノミの幼虫が食べる
ことによってノミの体内で発育、
ノミの羽化後に感染性を持った
幼虫になります。
この幼虫を持ったノミを終宿主
(犬や猫)が摂取することによって
腸管内で成虫になります。
ノミが寄生している猫は
ほとんどこの条虫もお腹に寄生
していると考えられます。
*診断
上記の写真のような成虫がそのまま
排泄されることはあまりなく、
白っぽいゴマみたいな粒がお尻の
周りにくっついていたり、猫が
寝ている場所に落ちていることで
気がつく事が多いです。
瓜実条虫の体は片節(へんせつ)が
数珠上に連なってできていて、
古くなった片節は順次、切断され
体外に排泄されています。
この片節がお尻から出てきたり
便と一緒に排泄されます。
出典:http://www.ayai-animalclinic.com/
排泄されてすぐは動いていること
もありますが、時間が経つと
乾燥して縮み固くなります。
これがゴマ粒のように見えるのです。
出典:http://ameblo.jp/prinprin0000/
*症状
条虫の中では瓜実条虫は比較的
小型サイズで、寄生数も少数の
ことが多いため、症状は軽度(下痢
や軟便)、もしくは無症状のことが多いです。
養分を吸収されることで栄養不良
になり痩せてしまったり毛艶が
悪くなったりも見られますが、
急に重症化する症状ではないため
見逃してしまいがちです。
ただし、子猫の場合などは、
激しい下痢や出血性腸炎を起こし、
最悪の場合、亡くなってしまう
こともあります。
*治療、駆除
条虫とノミの駆除を同時に行います。
駆虫薬の費用は2000~3.000円程度です。
薬剤にもよりますが通常は3~4
週間あけて2回の駆虫薬投与で
完全に駆除できます。
その後もお外に出る猫さんで
あればノミの予防薬は続けないと
また条虫に感染してしまいます。

<マンソン裂頭条虫>
マンソン裂頭条虫は、瓜実条虫
の倍以上の大きさで犬や猫以外
でもキツネやイタチなどにも
良く見られる条虫です。
マンソン裂頭条虫の成虫↓
出典:http://www11.plala.or.jp/
体長約1~2m、幅約1cmにもなる
サナダムシで、小腸内に寄生し、
栄養を吸収します。
動物の腸管の円柱上皮と同じ
ような構造の片節をしています。
*感染経路
マンソン裂頭条虫は中間宿主が
2種類必要な虫です。
第一中間宿主は、水中にいる
ケミジンコです。
ケミジンコの体内でプロセルコイド
(前擬尾虫・条虫の生活環の
1ステージ)になります。
マンソン裂頭条虫の虫卵↓
そして第二中間宿主はヘビや
カエルなどの両生類や爬虫類、
鳥類や哺乳類など多くの動物です。
これらに捕食されることで、
体内の腸管を穿通して体腔内で
臓器、組織に移行して
プレロセルコイドに発育します。
(擬充尾虫・条虫の生活環の
1ステージ)
そして終宿主の犬や猫などに
捕食されることにより、成虫に
なり、消化管の中で1年以上も
生きる寄生虫です。
猫の感染は多くがカエルやヘビ
を捕食することによるもので、
そのため、田んぼや沼地などが
多い田舎の地域での感染が多く
見られます。
*診断
瓜実条虫のように切れた片節が
お尻から出てくることはないため
発見しづらいです。
また下痢や嘔吐などの臨床症状も
ほとんど現れず、糞便検査に
よって虫卵を見つけることに
より診断します。
また、嘔吐物とともに成虫を
口から吐き出すこともたまにあります。
*症状
マンソン裂頭条虫は、中間宿主が
2種類も必要なため、一度感染したら
終生、その動物に寄生することで
生き続けようとします。
そのため、動物に感染することで
嘔吐や下痢などを起こされては
条虫自身も生死が危険になります。
そこで寄生動物の腸管の栄養を
多く吸収することはせず、少し
だけもらうことで、臨床症状を
出さず、気付かれないように
寄生生活を送るという性質を
持っています。
そのため、通常は症状が出ないのです。
しかし、多数寄生した場合などは
嘔吐や下痢などの消化器症状が
出ることもあります。
*治療・駆除
瓜実条虫と同じ駆虫薬で治療
しますが、マンソン裂頭条虫の
場合は、瓜実条虫の駆虫薬の
6倍の量が必要になります。
駆虫薬の量が多くなるため、
費用は10.000円近く必要になります。
また薬の投与量が多いため、
食欲不振、嘔吐、元気消失など
の副作用が出ることもあります。
投与後1~2日は状態を良く観察
しましょう。
そして、同じようにカエルなどを
捕食してくると再感染してしまう
ため、それらを捕食させないことが
予防となります。
お外に頻繁に出る猫さんなどは
ノミの寄生に注意し、またヘビや
カエルなどを良く捕まえてくる
ような子は定期的に検便などを
行うようにしましょう。