猫の乳がんは手術で切除しても
再発しやすく、転移の確率も
高い怖い病気です。
乳腺にしこり(腫瘍)を発見して
から手術を行い、再発したら
また手術、もしくは他の治療など
闘病が続きます。
もちろん早期に発見でき、
適切な治療が行われれば、再発を
抑えることができ、余命も長くなる
可能性も高いです。
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しかし、がんを抑え込めず
再発や転移を繰り返すことも
あります。
また、手術や治療をしないという
選択をされる飼い主さんもいらっしゃいます。
そして、いずれは乳がんも末期の
状態を迎えることになります。
こちらでは、乳がんの末期の状態や
治療、余命など、また安楽死の
選択についてなどについてまとめて
みましたので参考にしてください。
<乳がん末期の症状>
乳がんの末期、ステージ4は、
乳腺の腫瘍の大きさや数に関わらず
所属リンパ節に転移+遠隔転移
(他の臓器への転移)が見られる
状態です。
乳腺のがんは、それまでの手術の
有無や進行状況によって大きさや
状態はさまざまですが、腫瘍自体が
自壊(破裂)していることが多いです。

乳がんの末期ではさまざまな症状
が見られますが、他の臓器(主に肺)
への転移、または全身にがんが
広がっていることから、
*食欲減退
*動かない(動けない)
*咳や呼吸が荒くなる(転移による肺がん)
*栄養失調(がん悪液質による)
*貧血
*自壊した腫瘍の痛み、腐敗臭
などが見られます。
特に肺への転移から肺がんの
症状も末期になると胸水が溜まって
くるため、呼吸困難の症状が
見られたりします。

<乳がん末期の治療>
延命をどこまで行うかにも
よりますが、最低限、苦痛を
和らげてあげるためには、
対処療法を行う必要があります。
状態にもよりますが、
*乳がんが自壊していればその治療
*胸水が溜まっていれば胸水を抜く処置
*鎮痛剤や抗炎症剤、抗生剤の投与
*酸素吸入(呼吸困難がある場合)
など、状態に応じた治療を行います。
これらは延命のための治療では
なく、あくまでも苦痛を和らげる
ための治療です。
少しでも延命のため、積極的な
治療を望む場合には、獣医師に
その旨を伝え、治療法を考えて
もらう必要があります。

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<乳がん末期の余命>
転移の状態にもよりますが、
末期になり、全身状態の改善が
見込めない場合には、早ければ
数週間~長くても3ヶ月程度と
言われることが多いです。
ただし、それまでの治療の経過や
積極的な治療を行う場合には
また変わってきます。
薬剤の反応はさまざまですし、
個体差もあります。
また、胸水が溜まってきている場合
などは、呼吸ができなくなり容体が
急変して突然死などもあり得ます。
余命というのは、あくまでも
一般的なデータの平均で予測する
ものであって、実際の治療実績は
さまざまです。
予測を大幅に上回って長生きする
子もいますし。

<安楽死の選択について>
猫(ペット)の安楽死については、
飼い主さん個人個人の考えもある
ことと思いますし、正解はありません。
ただ、動物医療に携わる立場と
すれば、安楽死もやむを得ない
という状態は、
*治療方法がない(治らない)
*耐え難い苦痛がある
*苦痛を取り除く手段がない
*意識がない
*それ以上の延命に良い効果は望めない
ような場合です。
もちろん、それらに飼い主さんの
気持ち、要望も加わって総合的に
判断することになります。
個人個人の気持ちや獣医師の
考え方によってもさまざまですが
乳がんの末期の状態で言うならば、
*呼吸困難
*薬でコントロールできない痛み
などが安楽死もやむを得ないという
状態と言えます。
乳がんでなくとも基本的にがんで
あればどこに発生したがんでも考え方は
同様です。
苦しさ、痛みを改善してあげる
ことができない状態で、苦痛
を長く与え続ける事になるなら・・
という考え方によるものです。
安楽死というのは究極の選択で
あって、考えることでさえ辛く、
またそれを実行することは、
例え猫さんのためであったとしても
飼い主さんは耐え難い苦しみを
味わうことでもあります。
悩んでも答えを出すことは
難しいです。
しかし、精一杯お世話をして
あげたのなら・・
病気と闘ってきたのなら・・
どんな選択をしても猫さんは
きっと感謝していると私は思います。