近年、犬や猫のペットにも
がん(悪性腫瘍)が増加してきています。
がんは犬の死亡原因のトップで
54%を占めます。
さらに猫ではこれまで慢性腎不全
が死亡原因のトップでしたが、
近年これを追い抜こうとして
いるのが「がん」です。
スポンサーリンク
猫のがんにもさまざまなタイプの
ものがあり、治療法も多少は
変わりますが、基本的には
*外科治療(手術)
*化学療法(抗がん剤)
がメインでした。
しかし、近年は動物医療の進歩も
あり、
*放射線療法
*免疫療法
も行われるようになり、
注目が集まってきています。
ただ放射線療法は、特別な設備が
必要になるため日本国内で治療が
受けられる施設は限られているため
まだ気軽に行える治療ではないのが
残念です。

そして、もう一つ、
21世紀の新しいがん治療として
期待され、動物医療でも少しづつ
浸透してきているのが
「免疫療法(細胞治療)」です。
なるべく苦痛なく、がん治療を
行いたい・・
副作用のない治療を・・
そして少しでも長生きさせたい・・
飼い主さんなら誰でも思うで
あろうそんな願いに一番寄り添った
治療法が免疫療法(細胞治療)と言えます。
そこで今回は動物医療における
免疫療法(細胞治療)について
分かりやすくまとめてみました
ので参考にしてください。
<細胞治療とは>
細胞治療は、猫の身体を構成
している細胞を体外で人工的に
培養、増幅させた上で、 身体に
投与する治療法です。
本来、猫の体には体内に侵入した
細菌やウイルスなどを排除する
ための「免疫」という働きが備わっています。
*免疫とは・・
体内に病原菌や毒素、その他の異物
が侵入しても、それに抵抗して
打ち勝つ能力のこと。
また、異物と反応する抗体を作り、
発病をおさえる抵抗力を持つこと。
いわゆる、ちょっとした不調や
病気など、病院に行ったり薬を
飲んだりしなくても自然に自己
治癒させるチカラです。
この免疫力を活性化(強化)、
増殖させ、がんの発症や進行を
抑えようとする治療法が免疫療法
(細胞治療)です。
がんを手術や抗がん剤で取り除く
治療や放射線などでがんを叩く
というのとは違い、身体が本来
持つ修復機能や自己治癒力を
利用するというのが免疫療法の
最大の特徴です。
スポンサー リンク
<細胞治療の方法>
細胞治療には、代表的なものとして
*特異的免疫療法
「樹状細胞(DC)療法」
*非特異的免疫療法
「活性化リンパ球 (CAT)療法」
の2種類があります。
<樹状細胞(DC)療法>
樹状細胞は、生体の免疫機構の中で
司令塔の役割を果たす(リンパ球に
がんを特異的に攻撃させる)細胞です。
この樹状細胞を腫瘍組織と一緒に
培養することによって免疫細胞を
活性化、リンパ球を約1.000倍
に増殖させます。
この活性化した免疫細胞を投与
すると、その体内の特定の
がん細胞に対して攻撃を加える
という治療です。
<方法>
血液を採取し、約2週間かけ、
樹状細胞へ分化・成熟。
腫瘍組織を、樹状細胞と一緒に
培養。
この培養した樹状細胞を投与します。
<活性化リンパ球 (CAT)療法>
リンパ球を活性化・増殖させ、
約1.000倍に増殖したリンパ球
を体内に戻すことで、弱った
免疫力を回復させ、がんと闘う
力を高めます。
<方法>
血液を採取(5~10cc)してリンパ球
を分離、活性化させ約2週間かけて
培養・増殖させます。
この培養したリンパ球を投与して
いきます。
また、樹状細胞(DC)療法と
樹状細胞(DC)療法を組み合わせ
た治療法もあります。
<治療回数>
いずれも、状態や病状によりますが
一般的には2週間に一回の投与を
5~6回行います。
その後は状態を見ながら、
月に一度の投与を続けていく
場合もあります。
<細胞治療の効果や費用は?>
細胞治療での効果は、各治療実績
の報告も多くなってきているよう
ですが、
*腫瘍の再発抑制(退縮)
*延命効果
*QOLの向上(自覚症状の改善)
などの効果が高い確率で見られて
いるようです。
また、免疫療法は他の治療法
(抗がん剤)などとも併用できる
ため、抗がん剤などの副作用の
軽減も期待できます。
費用は、各病院によっても
変わりますが、1回の治療で、
活性化リンパ球 (CAT)療法
/50.000~60.000円
樹状細胞(DC)療法
/80.000~100.000円
が一般的です。
とても高額な治療です。
放射線治療と同等~それ以上
とも言えます。
細胞治療には、培養施設の設置
や培地など設置にコストがかかる
ため高額になるのはしょうがない
のですが・・
<免疫療法(細胞治療)の最大の利点>
*副作用の心配がない
細胞治療は、自身の細胞を
用いるため、副作用の心配が非常に
少ないです。
*全身麻酔が必要ない
手術や放射線治療には全身麻酔
が必須ですが、細胞治療は
基本的に採血や注射、点滴
なので麻酔は必要ありません。
*入院の必要がない
状態の観察や様子見に数時間
程度の預かりは必要になることも
ありますが、治療自体は数十分
程度です。
*全身状態が悪くても治療可能
他の治療は体の状態が悪いとき
には行えませんが、細胞治療は
肉体的負担も軽いため、治療可能です。
また細胞治療によって全身状態の
改善も期待できます。
*他の治療法との相乗効果が期待できる
細胞治療は他の抗がん剤や放射線、
温熱療法などと併用治療が可能です。
そして併用することで相乗効果
も期待できます。
*どんながんでも適応可能
細胞治療はがんの種類やステージ
を問わず、治療が行えます。
・手術をしたけど再発の確率が高い
・手術ですべての腫瘍を取りきれなかった
・抗がん剤の副作用が強い
・抗がん剤の効果が良くない
・抗がん剤治療はしたくない
・少しでも楽に過ごさせてあげたい

最大の難点は治療費ですかね・・
また、免疫療法も行っている
病院はまだまだ少ないのが現状です。
ただ、今後、確実に増えていきます。
そして、動物のがん治療において
免疫療法が浸透、需要が増えれば
治療費も下がってくるかもしれません!
猫(動物)の場合、どうしても
がんの早期発見は難しく、
ある程度進行してからの治療になります。
だからこそ、もっと積極的な治療、
動物の体に負担の少ない治療が
必要になってくるのです。
縁があって家族になった愛猫、
少しでも長生きしてほしいですからね。