猫は慢性腎不全になると
カリウムなどの電解質の
バランスが崩れ、さまざまな
弊害をもたらします。
そして、猫の腎不全の場合、
低カリウム血症、高カリウム血症
のどちらも起こり得る可能性が
あります。
今回は猫の腎不全治療に重要な
カリウムのコントロールに
ついてまとめてみましたので
参考にしてください。
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<カリウムの役割>
体内に吸収されたカリウムは
そのほとんど(98%)が細胞内に
存在し、神経や筋肉の興奮や
その情報を伝達する役割をしています。
そしてカリウムは、食物として
腸から吸収され、その90%以上
が腎臓から尿として排泄されます。
そのため、腎臓の機能低下に
よってカリウム濃度の異常が
起きるのです。
<腎不全によるカリウム異常>
猫のカリウムの正常値は、
3.5~4.5meq/Lです。
猫の腎不全の場合、多飲多尿に
よってカリウムが過剰に排泄
されることから、低カリウム血症
になります。
また、食欲不振によって
カリウムの摂取が足りなく
なることも一因に挙げられます。
そして、腎機能低下によって
カリウムをうまく排泄できず、
逆に高カリウム血症になって
しまうこともあります。
どちらかと言うと、猫の慢性腎不全
の場合は、低カリウム血症になる
ことが多いですが、高カリウム血症
にも注意が必要です。
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<低カリウム血症の症状と治療>
一般的に3.0mEq/L未満の
血清カリウム濃度になると
低カリウム血症と診断されます。
カリウムは神経や筋肉機能の調整
をしているため、低カリウムに
なると筋力低下による脱力や麻痺、
意識障害などが起こります。
猫の場合、分かりやすいのが
頭を上げられなくなり下を
向いたままになったり、
立ち上がれなくなったりします。
治療としては、程度にもよりますが
*点滴によってカリウムの補正
*飲み薬によってカリウム補助
を行います。
低カリウム血症が重度の場合には
電解質補正用の輸液を使ったり
カリウム剤を混ぜたりして、
静脈からの点滴を行うように
なります。
数値が落ち着き、症状が改善され
れば、飲み薬への治療に切り替えた
り、数値が安定すれば一旦様子見
になることもあります。
症状が軽く、食欲があり、薬も
飲める場合には、カリウム補助剤
(フィトケア)を投与します。
カリウム補助剤は、継続投与に
なることも多く、ネットなどでも
ペット用の栄養補助食品として
購入することが可能です。
ただし、カリウム補助剤は
与えすぎによって高カリウムに
なってしまう場合もありますので、
定期的な検査と獣医師の指示を
仰ぐことが大事です。

<高カリウム血症の症状と治療>
一般的に5.5mEq/L以上の
血清カリウム濃度になると
高カリウム血症と診断されます。
高カリウム血症も筋力の低下が
起こるため、四肢の痺れや脈拍の
異常などが見られます。
そしてカリウムは心臓の筋肉に
大きく関係しているため、心機能
の異常も引き起こし、不整脈や
心停止が起こり、対処が遅れると
助からないこともあります。
治療としては、
血液中のカリウム濃度を正常に
戻すための輸液療法が必要になります。
軽度~中度であれば生理食塩水
の点滴をすることで改善しますが、
重度の場合は、グルコースや
インスリンの投与が必要になります。
ただし、この場合も下がりすぎ
ると低カリウムになってしまう
ため、上手くコントロールする
ことが大事です。
慢性腎不全による高カリウム血症の
場合、数値が下がって落ち着けば
その後は投薬などは行わず腎不全
の治療、管理、定期的な検査を
行いつつ、様子を見ていくことが
ほとんどです。

<まとめ>
カリウムのコントロールには、
飲水量や皮下輸液など体内の
水分量、また食事量なども関係
してきます。
また、低カリウムも高カリウム
も初期では症状は分かりません。
定期的な検査で異常を早く見つける
ようにしましょう。