猫のリンパ腫は完治しない
免疫細胞のリンパ球が腫瘍化、
異常に増殖した病気が悪性リンパ腫です。
猫のリンパ腫は、残念ながら完治
できる病気ではありません。
ただし、治療をすることにより、
症状の軽減、また寛解にまで
持ち込めることもあり、日常の
生活を送らせてあげられること
も可能です。
*寛解・・病状が落ち着いていて
臨床的に問題がない程度にまで
治ること。
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でも治療しても治らないんでしょ・・
どうせまた再発するんでしょ・・
どのくらい生きられるの?
余命は・・?
愛猫がリンパ腫になってしまったら
そんな不安、心配で頭がいっぱい
になって苦しいですよね。

飼い主さんの考え方によっても
治療の選択はさまざまだと
思います。
しかし、猫のリンパ腫は無治療での
生存期間は平均で4~8週間とされて
います。
治療を行うことでこの余命を
大幅に延ばせる可能性は十分に
あり、また治療効果が上がり、
寛解に持ち込めれば、再発する
までは楽に元気に過ごさせてあげる
ことができるのです。
今回はリンパ腫の予後(余命)や
安楽死の選択などについてです。
<リンパ腫の予後(余命)は?>
猫のリンパ腫は大きく分けて
*多中心型(全身のリンパ節腫脹)
*消化器型(腸に腫瘤)
*縦隔型(胸の中)
*鼻腔型(鼻の中)
があります。
これらのタイプによっても
抗がん剤治療の反応や予後は
変わってきます。
そして、発見時のステージに
よっても変わります。
当然ですがステージ3~4よりは
1~2の方が予後は良好です。

また、猫のリンパ腫の大きな原因の
一つであるFelv(白血病ウイルス)が
陽性かどうかによっても変わります。
そして当然、治療効果には個体さも
ありますが、一般的(平均的)な
報告、データによる予後や余命に
ついて以下にまとめました。
猫のリンパ腫の治療(抗がん剤
プロトコール)での寛解率は
65%~75%とされています。
また、生存期間中央値は、
6ヶ月~8ヶ月。
*完全寛解・・7ヶ月
*部分寛解・・2.5ヶ月
*無反応・・1.5ヶ月
1年生存率は約30%とされています。
そして、Felv(白血病ウイルス)が
陽性の場合には、生存期間中央値
は下がり、4.2ヶ月となります。
*生存期間中央値は、半分(50%)の
患者(猫)が亡くなるまでの期間で、
いわゆる一般的に「余命」として
伝えられる期間のことです。
*部分寛解は、がんの大きさや
拡がりが縮小すること。
また、リンパ腫のタイプによって
の抗がん剤治療の効果や予後に
ついては以下にまとめました。
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タイプ別の抗がん剤の予後や効果
<多中心型リンパ腫>
多中心型は白血病ウイルス陽性率
が約80%です。
体表のリンパ節が腫脹、進行する
と全身性に浸潤します。
*化学療法(抗がん剤)に対する
反応性は良好とされています。
<縦隔型リンパ腫>
縦隔型も白血病ウイルス陽性率
が約80%です。
胸部の前縦隔部に発生し胸水貯留
や呼吸困難などが見られます。
*化学療法(抗がん剤)に対する
反応性は比較的良いものの、
再発が多いとされます。
但し、白血病ウイルス陰性の場合
は長期の生存も可能。
<消化器型リンパ腫>
消化器型は白血病ウイルス陽性
率は約20~30%です。
胃や腸などの消化管や腸間膜
リンパ節に発生します。
猫には多いリンパ腫です。
*高悪性度のタイプは、化学療法
(抗がん剤)に対する反応性は
あまり良くなく、予後は不良と
されています。
低悪性度は長期生存可能。
(平均20ヶ月)
<鼻腔型リンパ腫>
鼻腔型は白血病ウイルス陽性率
は約20~30%です。
鼻腔内に発生するため、鼻からの
出血や顔面が変形したようになります。
*化学療法(抗がん剤)に対する
反応性は比較的良いとされますが
平均4ヶ月程度です。
また放射線治療が最適だとされ、
平均15ヶ月の生存期間中央値と
されます。
また、治療法(プロトコール)、
タイプによっても変わりますが、
寛解~再燃(再発)までの期間は、
3ヶ月~9ヶ月までと幅があります。
再燃したら、また新たに
プロトコールを決め、治療を
行うことになります。
ただし、猫のリンパ腫において
再燃した場合は、再度寛解する
ことは難しいとされています。

<安楽死の選択について>
安楽死については、個々の考え方
や猫さんの状態によってさまざま
だと思います。
リンパ腫の場合、抗がん剤の効果
がなくなり、また再燃した場合に
積極的な治療を行わない場合など、
少しでも余命を楽に過ごすことが
できるようにステロイドで痛みを
抑えたりなどの治療を行うことが
多いです。
しかし、それも効果がなくなった
場合や、まったく食べれなくなり
痛みや苦しさが続くような場合には
安楽死という選択が頭をよぎること
と思います。
どんな病気でもそうですが、
猫さんが耐え難いような痛み、
また苦しみを抱えている場合には
楽にしてあげるということは、
飼い主さんが愛猫にしてあげられる
最期の努めなのかもしれません。
獣医師に相談することも大事ですが
決断は飼い主さんがすることであり
どちらを選んでも後悔は残るのかも
しれません。
しかしどんな決断になったとしても
それまで共に病気と闘ってくれた
飼い主さんであれば猫さんは感謝
していると思います。