甲状腺ホルモンの過剰分泌に
よって起こる高齢猫に多い病気
の甲状腺機能亢進症。
以前まではお薬を服用することで、
甲状腺ホルモンの合成を抑え、
分泌を減らすという内科的療法が
基本の治療でした。
しかし、2012年にヒルズから
猫の甲状腺機能亢進症に対応した
世界初の特別療法食が発売され、
甲状腺機能亢進症が食事療法だけで
治療を行えるようになりました。
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猫の甲状腺機能亢進症用の療法食は
プリスクリプションダイエットの
『y/d』です。
<y/dの特徴は?>
y/dの一番のポイントは、
ヨウ素を非常に低く制限してある
低ヨウ素のキャットフードという
ことです。
また、高齢猫に多い慢性腎不全
にも配慮してあり、リンを制限、
低ナトリウムになっています。
他にも、オメガ-3脂肪酸と
オメガ-6脂肪酸などを高レベル
で配合、皮膚や被毛の健康も
考えられています。
規格はドライフード2kgと
缶詰156gがあります。
価格は、病院や店舗、通販に
よっても変わりますが、
ドライ2kg \3.500~
缶詰(1缶) \250~
となっています。
*今はネットなどでも安く購入
できますが、基本的に療法食です
ので、獣医師の指示に従って与える
必要があります。
<甲状腺ホルモンの働きは?>
甲状腺ホルモンは、食事で摂取した
タンパク質や脂肪、炭水化物などの
エネルギー代謝の過程を刺激したり
促進したりと調節する作用があります。
動物の生命活動には必須の
ホルモンなのです。
そして、甲状腺ホルモンは体の中で
唯一のヨウ素有機化合物で、食事
などから摂取されたヨウ素は、
甲状腺ホルモンの合成のためだけに
使われます。

<ヨウ素制限の効果とは?>
ヨウ素は、ヨードとも呼ばれ
甲状腺ホルモンを産生するのに
必要な栄養素です。
ヨウ素は、主に海藻や魚介類
などに多く含まれ、必須ミネラル
の一つですが、猫への必要量は
極微量(100ug)です。
そして、ほとんどのキャットフード
には、最小必要量の3~5倍のヨウ素
が含まれています。
そして、このヨウ素の量を猫に
必要な最小量にまで抑えた食事
がヒルズのy/dです。
甲状腺ホルモンの構成成分で
あるヨウ素の摂取制限をすること
で、甲状腺ホルモンの過剰な
産生や放出を抑えることができる
のです。
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<療法食の利点と注意点>
内科療法の場合は、甲状腺の
ペルオキシダーゼという酵素を
阻害して、甲状腺ホルモンの
生合成を抑制する薬の服用が必要に
なりますが、長期の使用になれば
副作用の心配などもあります。
そして、基本的に一生飲み続ける
ことになります。
お薬を飲ませる手間もお薬代も
必要になります。

しかし、食事療法で治療できれば
毎日の食事を療法食に変えるだけ
でいいわけです。
療法食ですから、通常のキャット
フードよりは高いですが、薬代
を考えると当然お安いです。
また、腎不全などにも配慮して
ありますし、高齢猫の健康を
考えて作られているので安心も
できます。
*注意点
ただし、注意点としておやつは当然
他の食材を与えてしまっては意味が
なくなります。
y/dとお水だけという食事を徹底
する必要があります。
また、食べ始めてから(y/dのみ)
効果が現れるのに約3週間かかります。
前フードからの切り替え期間を
入れると1ヶ月~2ヶ月程度の
時間は必要になります。
その他、病気によって療法食は
複数社のメーカーのものが
選べるのですが、猫の甲状腺機能
亢進症用の療法食は現在のところ
ヒルズの一社のみです。
ですから、食べない場合には、
他を試してみるということも
できず、なんとか食べてもらう
しかありません。
また、サイズが2kgしかないので
猫1匹用としてはちょっと大きい
ですよね。
開けたらどんどん風味は落ちて
いってしまうので猫用のフードは
なるべく小分けが望ましいものです。
まず食べるか試してみようという
サイズではないですし。
今後需要も増え、要望も
高まってくれば500gなども
発売されるかもしれませんね。