猫の甲状腺機能亢進は、
高齢猫に多く発症する病気です。
甲状腺ホルモンの過剰分泌に
おって起こります。
そのため、甲状腺ホルモンの合成
を抑え、分泌を減らすことが、
甲状腺機能亢進症の治療になります。
スポンサーリンク
甲状腺機能亢進症の治療法は、
*内科療法(内服薬)
*食事療法(処方食)
*外科療法(手術)
がありますが、ほとんどの
場合、飲み薬や療法食で治療、
管理できます。

今回は、内科療法のお薬について
まとめてみました。
猫の甲状腺機能亢進症の薬
猫の甲状腺機能亢進症に使われる
お薬は、成分名「チアマゾール」で
製品としては「メルカゾール」が
多く使われています。
メルカゾールは人間用のお薬で、
猫用のチアマゾールとしては、
「フェリマゾール錠」という
製品が出ています。
猫用のフェリマゾールが発売
されるまでは、猫にも人間用の
メルカゾールが使われていました。
成分的にも同じですので、現在
でもメルカゾールを処方する
先生が多いです。
フェリマゾールを処方する先生もいます。
*メルカゾールの方が価格が安い
ため、メルカゾールを使う病院が
多いです。
<メルカゾールの働き>
甲状腺のペルオキシダーゼと
いう酵素を阻害して、甲状腺
ホルモンの生合成を抑制します。
この作用により、体内のホルモン量
が正常に保たれるようになり、
ホルモンの過剰分泌が引き起こす
さまざまな症状を改善する効果を
発揮します。
ただし、チアマゾールなどの
抗甲状腺薬での治療の効果は、
薬によって甲状腺ホルモンの生成
を抑制していることによるため、
薬の服用をやめるとホルモン値が
また高くなり、再発します。
ですから、治療は長期~一生に
渡って継続する必要があります。
スポンサー リンク
<メルカゾールの投与量や費用>
メルカゾールなど抗甲状腺薬は、
少量からスタートしていって、
2~3週間ごとに検査をして、数値
を見ながら、その子に合った投薬量
を決めていくことになります。
メリカゾールは5mgの錠剤、
フェリマゾールは2.5mgと5mg
の錠剤があります。
そして猫の甲状腺機能亢進症には、
体重にもよりますが1日あたり
1.25mg~10mg(1頭)の量が必要
とされます。
ですから、スタート時など
少量の場合には、錠剤を砕いて
粉薬にして処方されることが
多いです。
そして、薬の価格は投与量に
よって変わりますし、病院に
よってもさまざまですが、
平均的に1日分で100~150円
程度だと思われます。
(薬は1日1~2回の投与です)
1ヶ月分で3.000~5.000円程度が
甲状腺機能亢進症のお薬代として
必要になります。
<メルカゾールの副作用>
副作用はあまり見られないお薬
ですが、長期的使用によって
一過性の軽度の副作用が起きる
可能性として報告されているのは、
*貧血
*嘔吐、食欲減退
*痒みや脱毛などの皮膚症状
*出血傾向
*肝障害に関連した黄疸
*血液異常症(好酸球やリンパ球増加症、
好中球やリンパ球減少症など)
などが挙げられます。
ただし、これらはチアマゾールの
服用を中断すれば症状が改善する
ものがほとんどです。
基本的には、甲状腺機能亢進の
お薬はずっと(一生)継続して
飲む必要があります。
薬ではなく療法食で対処も
また、今は甲状腺機能亢進症
用の療法食「ヒルズy/d」が出ています。
これは、甲状腺ホルモンを作る
もとになる、ヨウ素という栄養素
を制限した特別な処方食です。

ですから、状態にもよりますが、
お薬なしで療法食だけで治療も
できる可能性があります。
また、長期のお薬の投与の副作用が
心配されるような場合には、療法食
が望ましいとも言えます。
試してみる価値はありますね。
「ヒルズy/d」は嗜好性は比較的
良いのですが、食べてくれない
子もいます。
その場合にはお薬を服用するしか
ないのですが。