猫の宿命とも言われる腎不全。
早期発見が非常に難しい厄介な
病気の一つですね。
腎臓の機能が落ちてきて、
血液検査ではじめて異常値が
発見されたとき、すでに腎臓の
75%の機能が失われている状態
です。
そして、その失った機能はもう
戻ることはないのです。
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つまり、何らかの異変に気付いて
検査をしても例えば腎臓の50%が
機能していれば検査値に異常は
見られない・・と言うことです。
ですから実際に腎不全を発症して
いても75%の機能が失われる状態
まで進行しないと発見ができないと
言うことです・・でした。
これまでは・・
しかし、もっと早くに腎機能
の測定ができるSDMAという
バイオマーカーの検査があります。
<SDMAとは?>
SDMA(対称性ジメチルアルギニン)
は、細胞内代謝のうちの
L-アルギニン-NO経路を調節する
因子の一つでそのほぼすべて(90%)
が腎臓から排泄されるため、糸球体
濾過率の指標となります。
つまり、CRE(クレアチニン)やBUN
と同じく腎臓の機能の評価ができます。
そして、CREが腎機能の75%が
失われないと上昇しないのに対し、
SDMAは、腎機能が平均で40%(早い
場合は25%)失われた時点で上昇します。
また、CREの値は筋肉量に影響
を受けるため、加齢によって筋肉量
が落ちた猫さんなどの場合は、実際
よりもCREが低く出ることもあります。
しかし、SDMAは筋肉量に左右
されることもないのです。

このようなことから、SDMAは
これまでの腎不全の指標となる
検査よりも早期発見ができるのです。
SDMAでは、CREに比べて17ヶ月
(犬では9.5ヶ月)早期に腎不全を
発見できると言われています。
また、かなり信頼性の高い検査と
言うことでIRISの慢性腎臓病の
ガイドラインにも取り入れられ
ています。
IRISは国際獣医腎臓病研究グループ
で、CREの数値によるステージ分類
の指標などを出しています。
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<SDMA検査の利点>
*クレアチニンより早期に上昇
*筋肉量に影響されないため、痩せた子
や老齢の猫さんでも正確に腎機能を評価
*感度が高い(腎臓に影響がない限り
他の疾患の影響を受けない)
*すでに慢性腎不全になっている場合
でも腎機能のモニタリングに有用
*急性腎不全でも同様に早期に上昇
猫の場合は急性腎不全から慢性腎不全
に移行する場合も多いため、急性腎不全
を早く発見、迅速な治療を行うことで
慢性腎不全の予防になります。
もちろんその他の検査と併用して
腎機能を評価、全身状態をチェックする
必要がありますが、腎不全を早期発見し
早期に対策をしていくことで進行を
遅らせ、寿命を伸ばすことが期待できる
のは言うまでもありません。

現在では、ペットドッグなどの
健康診断のコースにSDMAの検査も
含まれているところも多くなってきています。
猫の場合、腎不全は宿命とも言われる
病気ですから、今後は一般的な生化学検査
のBUNやCRE(クレアチニン)と共にSDMA
も検査するのが当たり前になっていくと
思われます。
その方がより精密に腎不全の評価、体
の状態を把握できますので。
例えば、CREの数値でステージ2の
診断でもSDMAの数値によっては
ステージ3の治療、ステージ3の
診断でもステージ4の治療が検討される
といった感じに前倒しで早め早めの
治療を行う指標になるのです。
まさに病気の鉄則!
早期発見、早期治療ですね!
<SDMA検査の費用>
SDMAの検査は、外注で専門の
検査機関での検査になります。
ただ、外注検査にしては費用は
そこまで高くはありません。
(病院にもよりますが2,000~3,000円程度)
検査結果は約2~3日で出ます。
またゆくゆくは動物病院内での検査
も可能になるよう検討されているようです。
普通の血液検査同様、ほんの少し多めに
採血をするだけですので、定期検査の
ときなどには、他の一般的な血液検査と
併用でチェックするようにしておくといいですね!
はい、ウチの愛猫たちも4歳から
SDMAの検査初めてます。
絶対に長生きしてほしいので!