猫の体に発生する腫瘍は
さまざまなタイプのものがあります。
そしてその多くは、悪性の「ガン」です。
こちらでは、猫の悪性腫瘍の一つ
である、線維肉腫について原因や
症状、治療法などをまとめてみました
ので参考にしてください。
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<猫の繊維肉腫とは>
線維肉腫は、多量のコラーゲンを産生
する繊維芽細胞から発生するガンの一種です。
根が深く、大きく成長する傾向が
あり、筋肉や筋膜などの深部に侵入し、
潰瘍を形成します。
猫の線維肉腫は、ワクチン接種肉腫
(注射部位肉腫)と呼ばれるタイプの
ものが多く、この場合、予防接種後に
注射部位に肉腫(腫瘤)が発生します。
猫の繊維肉腫の多くがワクチン接種
に関連しているとされています。
<症状について>
腫瘍の発生部位によって、
症状はさまざまです。
また、腫瘍の進行速度も一定
ではなく、短期間からゆっくり
成長するものまでさまざまです。
あらゆる部位に発生しますが、
体幹や四肢、顔面や乳腺などに多く見られます。
皮膚の表皮は皮下に発生したり、
筋膜や筋組織に侵入している場合もあります。
形も不規則で、硬いことが多く、
周囲の組織に密着して境界が
はっきりとしていないことが多いです。
ワクチン接種肉腫の場合は、一般的に
注射を打つことが多い部位の首〜肩(左右の
肩甲骨間)やお尻〜大腿部の皮下や筋肉に
しこりが発生します。
この場合、ワクチン接種の数週間から
数ヵ月後に腫瘤ができてきます。
繊維肉腫の多くは、転移の可能性は
低いのですがワクチン接種肉腫は、
侵襲性が強く、転移の可能性が非常に高いとされています。
<原因について>
原因ははっきりと解明はされて
いませんが、免疫力の低下や、ストレス
などが関係しているとも考えられています。
ワクチン接種肉腫の場合は、
注射やワクチンが原因となっていて
これは、アジュバンドと抗原に対する、
局所免疫反応や炎症が原因と
考えられています。
*アジュバンドとは、
ワクチンと一緒に投与して
その効果を増強する目的で
使用される物質の総称。
ワクチン接種肉腫も、ワクチンを
打っている全ての猫さんに発生する
可能性はありますが、発生する割合は、
1万頭に1~2頭程度とされているので
その他、さまざまなワクチンの副作用
に比べても高い割合ではありません。
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<治療法について>
発見次第、切除手術の対象になります。
肉腫の周囲の筋肉や組織を
2~3cmマージンを取って大きめ
に広範囲に切除します。
切除後に腫瘍を病理組織検査に
出して、その結果によってその後の
治療を検討していくようになります。
直径が2cm以下の小さい腫瘤で
あれば、完全に切除できれば予後は良好とされます。
発生部位によっては、広範囲の切除が
困難な場合など、化学療法(抗がん剤)や
放射線療法を組み合わせることもあり
ますが、転移が認められる場合には
化学療法の効果は期待できません。

<まとめ>
注射やワクチン接種後、
注射部位の経過観察をして、
少しでも異常が認められた場合、
早期に診察を受けましょう。
猫白血病ワクチン(Felv)の接種
による肉腫の発生が多いとされて
いるので、Felvワクチンの接種は
獣医師と話をして十分に検討してからにしましょう。
また、猫白血病ウイルスはお外に
出なければ感染してくる可能性は、
ほぼありません。
室内飼育を徹底すれば、白血病のワクチン
を接種する必要はないと言えます。
基本的に完全室内飼育であれば
三種混合ワクチン(パルボ・カリシ・
ヘルペス)で十分です。
ですから、室内飼育を徹底するのが望ましいですね。
また、ワクチン接種が関連しない
線維肉腫はとにかく小さな病変のうちに
発見して切除することが重要です。
日頃から猫さんの体調管理に
つとめて病気の早期発見・早期治療を心がけましょう。