<猫の肥満細胞腫とは>
肥満細胞という細胞が、腫瘍化する病気です。
*肥満細胞・・
皮膚や粘膜などに広く分布し、
ヒスタミンを放出する細胞と
して知られ、身体の防御に大切な
役割を担っています。
肥満細胞と言う名前ですが、
体の肥満とは関係ありません。
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<皮膚型肥満細胞腫>と
<内蔵型肥満細胞腫>の
2つのタイプがあります。
猫で多く見られるのは皮膚型肥満細胞腫
で、高齢の猫の発症が多いです。
また、どんな猫でも発症する可能性は
ありますが、猫種による好発品種では
シャム猫が多いとされています。
<症状や出来やすい部位は?>
「皮膚型肥満細胞腫」
いわゆる皮膚に病変が発生するタイプで
一番多いのは頭部(耳や耳の付け根)
や頸部で次に体幹や四肢に多く発生します。
通常は、1個だけの単発で、
脱毛を伴う小さな硬いしこり
(0.2~3cm)のものが多いですが、
まれに複数部位に多発性にできることもあります。
痒みを伴うこともありますが、
初期でシコリも小さければ特に症状
は見られないことが多いです。
「内蔵型肥満細胞腫」
皮膚など体の表面ではなく、主に
腹腔内の内臓(脾臓や肝臓・小腸など)
に発生するタイプで転移しやすく悪性の
確率が高い腫瘍です。
腫瘍のできた臓器にもよりますが、
初期には消化器の症状(下痢や嘔吐)が
見られ進行すると元気消失・食欲低下・
体重減少などが見られるようになります。
腫瘍が大きくなっている場合には
触診で、腹部にしこりを感じることもあります。

<原因は?>
肥満細胞腫の詳しい発症原因は、
分かっていませんが、シャム猫で
若齢での肥満細胞腫の発症例が
あるので、品種による発症要因が
あるのではないかと考えられています。
一般的には高齢の猫で発症すること
が多いですが若齢の猫でも見られます。
また、多発性の皮膚型肥満細胞腫
の場合は猫エイズ(猫免疫不全
ウイルス)との関連も疑われています。
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<治療法は?>
皮膚型も内蔵型も、基本的な
第一選択としては手術による切除です。
皮膚に発生する肥満細胞腫は
良性のことも多いですが、
見た目で判断はできませんので
手術によって切除が基本です。
腫瘍部位を含め、広範囲に切除します。
そして、悪性かどうかの確定診断
のために採取した腫瘍の病理検査をします。
良性であれば心配はいりませんが
繰り返しできることもあります。
また、悪性の場合でも完全に
取り除くことができれば治癒の
可能性もあります。
部位や腫瘍の大きさにもより
ますが、完全に取りきれなかった
場合などは、化学療法(抗がん剤)を併用
したり放射線治療などを行うこともあります。


<予防法は?>
発症原因が詳しく分かっていない
ため、有効な予防法はありません
が、どんな猫さんでも発症する可能性はあります。
しかし、特に皮膚型の場合は、
早期に治療できれば、予後は良好な
ことも多いため、早期発見が重要です。
普段から猫さんの体を触ったり、
ブラッシングをしたりすること
で皮膚にできているシコリは
発見することができます。
なるべく、スキンシップの時間
を多くとって、体のチェックを
してあげましょう。
また、下痢や嘔吐などの症状が
長引くときなども早めに受診して
検査を受けることが大事です。
早期発見・早期治療を心がけましょう!