猫のクラミジア感染症って?
猫ではポピュラーな病気であり、
猫カゼとも言われるウイルス疾患の
一つです。
(他は、ヘルペス=猫ウイルス性鼻気管炎、
猫カリシウイルス感染症)
クラミジアは細菌とウイルスの
中間に位置する病原体で、
ズーノーシス(人畜共通の感染症)の一つです。
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ただ、人のクラミジアと猫のクラミジア
は異なります。
人ではクラミジアは、性感染症の
一つとして知られ、いわゆる性行為に
よって感染することが多い病気ですが
猫のクラミジア発症は、人のそれとは
感染経路や症状などが少し異なります。
同じクラミジア科に属する病原体
ですが、人はクラミジア・トラコマチス、
猫は、クラミドフィラ・フェリスであり、
猫のクラミジアは、基本的には猫同士で
感染が起こる病気です。
(稀に人へ感染することもあるとされています。)
こちらでは、猫のクラミジア感染症
について症状や治療法などをまとめて
みましたので参考にしてください。
<感染経路について>
猫のクラミジアは、主に感染猫との
接触感染です。
感染力が非常に強い病原体です。
一度感染をしてしまうと病原体は
全身に存在するため、目ヤニや鼻水
などの分泌液、また便中にもクラミジアを
排出してしまいます。
そのため、直接的な接触がなくとも
感染する危険性があります。
鼻水などからの飛沫感染もしますが、
一番濃厚な感染経路は、目ヤニなど
目からの分泌物に含まれる病原体です。
多頭飼育などの場合は、
一匹が感染をしてしまうとすぐに
同居猫にも感染してしまうので注意が必要です。
他の猫カゼ(ヘルペス・カリシ)同様、
感染猫と同じ空間にいれば簡単に感染
する可能性が高い病気です。
<症状について>
クラミジアの感染直後には発熱などから
食欲不振になったりなどもありますが
これは一過性のものなので見過ごされること
が多いです。
クラミジアの分かりやすい主な症状は、
まず目に現れることがほとんどです。
感染からおおよそ3~5日程度で
症状が出現してきます。
片目から起こることも多いですが、
基本的には両目に症状が出てきます。
慢性の結膜炎が起こり、
ドロドロした膿のような目ヤニが
出てきたり、結膜浮腫、瞼(まぶた)や
目の周囲全体が腫れることもあります。
目が開けづらくなり、気にして
引っ掻いたりなどの素振りが見られる
ようになります。
また、進行すると鼻水やくしゃみ、
咳なども見られるようになります。
そして重症化すると、肺炎などを
引き起こし死亡するケースもあります。
特に抵抗力のない子猫や高齢猫などの
場合は注意が必要です。
また、他のウイルスとの複合感染
の場合は、重症化することが多く、
早期に適切な治療をすることが
大事になってきます。
基本的に、クラミジアと共に、
ヘルペス、カリシウイルスにも感染
(複合感染)していることがほとんどで、
それらも同時に発症することで症状を
を悪化させます。

<治療法について>
前述したように猫のクラミジアは、
他のウイルス(ヘルペス・カリシ)との
混合感染が多く、その判別(クラミジアの)
は難しいため、ほとんどの場合が複合感染
としての治療を行っていくようになります。
(目ヤニによる結膜スワブ検査や血液に
よる抗原検査などで診断する場合も
ありますが、猫クラミジアの検査は精度
があまり高くないとされています。)
治療は、抗生物質(テトラサイクリン系)の
飲み薬、状況に応じて点眼薬、点鼻薬など
とともに抗ウイルス剤(インターフェロン)
などの投与が行われます。
(カリシやヘルペスなど複合感染していたと
してもこれらの治療で効果があります。)
適切な治療が行われれば症状は
2週間~ほどで症状は治まりますが、
4週間程度はしっかりと治療を継続する
ことが望ましいです。
症状が良くなったからと言って早期に
治療をやめてしまうと病原体は体内に
残ることもあり、再発することがあります。
また、子猫などで重症化している
場合は、輸液や点滴、栄養剤などで
体力を回復させる必要があり、入院治療
になる可能性もあります。
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<治療費について>
・初診料(再診・診察料)
500円~3.000円
・処置(目や鼻の洗浄など)
500円~1.500円
・皮下注射(抗生物質)
1.000円~2.000円
・皮下注射(抗ウイルス剤)
1.500円~3.000円
・点眼薬(抗生物質)
1.000円~2.000円
・飲み薬(抗生物質)
1.000~2.000円(一週間分あたり)
その他、状況によって
・ウイルス検査(白血病・エイズ)
3.500円~8.000円
・点鼻薬
1.000円~2.000円
重症の場合の輸液や点滴など
5.000円~10.000円(一日あたり)
その他、猫さんが、自分で目を
引っ掻いたりして傷つけないように、
エリザベスカラーなどを装着が必要に
なることもあります。
一旦、症状が治まったように
見えても、勝手にお薬をやめて
しまわないようにしてくださいね。
クラミジアの抗生物質は、
最低でも2週間以上(4週間)の継続投与が必要です。
<まとめ>
クラミジアは、若い猫(子猫や幼猫)
での発症が多く見られ、その多くは
ブリーダーやペットショップなど、
多くの猫が集まっているところにいる
猫たちです。
(そのため、売買されている純血種の
猫での感染率が高いです。)
そのようなところから猫を譲り受けた
場合には、注意しましょう。
また、今はワクチンの5種混合や
7種混合にクラミジアは含まれて
いますので、症状が治まって少し
期間を置いたら、ワクチン接種を
していくといいですね。
(一般的な三種混合には含まれていない)
飼育環境にもよりますが、感染歴の
ある猫では、再感染のリスクが高いと
されています。
ですから特に多頭飼育などの場合には、
ワクチン接種が重要になります。
もし、体の中にクラミジアが残って
しまっていてもワクチンで免疫を
付けていけば発症しにくくなって
いきます。

クラミジアは、感染したら早期に
しっかりと病原体を抑え込むことが
重要ですので、治療によって症状が
改善してもしっかりと獣医師の指示に
従い、治療を続けてくださいね。