猫で最も多い腎臓病は、慢性腎不全
ですが、その他にも腎臓の病気は
色々とあり、炎症によって起こる
腎臓の病気(腎炎)の代表的なのが
糸球体腎炎です。
糸球体腎炎は、治らない病気とされる
慢性腎不全とは異なりますが、完治は
難しい病気の一つです。
(原因にもよります)
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糸球体腎炎は、急性腎炎とも言われ、
急性腎不全の原因にもなりますが
急性腎不全とはまた異なる病気です。
こちらでは、猫の急性腎炎(糸球体腎炎)
の原因や症状、治療についてなどを
まとめてみましたので参考にしてください。

<猫の糸球体腎炎と原因について>
腎臓の糸球体(しきゅうたい)に、
炎症が起きている状態を糸球体腎炎と言います。
糸球体:腎臓の中の腎小体(球状の小体)
に包まれた細い動脈の塊
細い毛細血管が毛糸の球のように
丸まってできているため糸球体と
呼ばれています。
また、ネフローゼ症候群とも呼ばれます。
ネフローゼ症候群:
タンパク尿やアルブミン血症、
高コレステロール血症、浮腫や腹水
などの症状が見られる腎臓疾患の
総称です。
腎臓の重要な機能の一つが体内(血液中)
の老廃物や塩分をろ過してオシッコと
して体外に排泄することですが、この
働きを担っているのが糸球体です。
心臓から腎臓に流れ込んできた血液は
糸球体を通るときに、赤血球や蛋白以外
はこし出され、ボーマン嚢から尿細管に入ります。
そこで必要なものを再度取り込み、
不要なものは、尿として排泄されます。
出典:https://jinentai.com/
猫の糸球体腎炎の原因は、
*免疫反応の異常
(自己免疫疾患)
*ウイルス感染
(猫エイズ、猫白血病、猫伝染性腹膜炎
などのウイルス)
*細菌感染
(溶血連鎖球菌など)
*その他
(他の病気や泌尿器疾患など)
などが挙げられます。
ウイルスや細菌感染に対する免疫反応、
または、自己に対する免疫反応(自己免疫
が自分の腎臓を攻撃)によって特殊な
タンパクが糸球体に結合して炎症を
起こすことで発症することが多いです。
その他、高窒素血症や尿毒症など
と併発して発症することもあります。
体の蛋白が尿の中に失われてしまうため、
尿検査で、アルブミン濃度(タンパク尿)
や血液検査で腎臓の数値を見ることで
診断されます。
猫は泌尿器系の病気や、
腎臓の疾患が多いので定期的に
尿検査などをしていると、初期で
発見できることもあります。
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<糸球体腎炎の症状について>
目立った初期症状はほとんどないため
早期発見が難しいです。
進行していくと、
*元気消失
*食欲不振、
*むくみ(浮腫)
*脱水
*尿量減少
*血尿・蛋白尿(見た目では分からないことも)
などが見られます。
さらに進行すると、
*多飲多尿
*嘔吐や下痢
*軽度の貧血
*高血圧
*体重減少
*腹水貯留
など慢性腎不全の症状が
起こってくるようになります。
また、蛋白尿が続くと、
ネフローゼ症候群を引き起こします。
(尿中に蛋白質が多量に出てしまい、
血液中の蛋白質が減ってしまうこと
による)
<治療について>
糸球体腎炎の治療としては、
糸球体腎炎を引き起こしている元の
疾患がある場合、その疾患の治療をします。
元の疾患でも猫エイズ、猫白血病、
猫伝染性腹膜炎などのウイルス感染
の場合、完治できる治療法がないので
対処療法となります。
(抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗生物質など)
症状に応じて、血栓化を防ぐため
の薬を投与したり、血管拡張剤などが
必要になる場合もあります。
その他、状態に応じて、
*免疫抑制療法(免疫抑制薬の投与)
*食事療法(腎臓用の療法食)
*腎不全の治療(腎臓の機能補助)
原因疾患が分かっていて
治療可能な病気の場合は、
症状は改善することもあります。
ただ、多くの場合、自己免疫によるもの
なので、基礎疾患は特定できないことが
多く、また特定できても完治が望めない
場合が多いのが現状です。
最終的には、腎臓の機能が低下して
腎不全となるため、治療も基本的には
慢性腎不全の治療とほぼ同じ対症療法
になります。

<まとめ>
猫の糸球体腎炎は、
*若い年齢のオス猫
*ウイルス疾患に感染(白血病やエイズなど)
*重度の口内炎
*糖尿病
*心臓疾患
*免疫疾患
*アレルギー体質
などの猫が発症しやすいとされています。
予防できることとしては、
この病気の原因になる可能性がある
猫エイズ、猫白血病ウイルスに感染
しないよう、年1回のワクチン接種
(ワクチンがあるのは白血病のみ)や
感染を避ける(外出させない)などとなります。
また、早期発見できるように定期的な
健康診断などを受けて、健康管理に
気を配っていくことが大事になります。
尿検査は、費用もあまりかからず
自宅でオシッコを採取して行けば
猫さんにも負担をかけないため、
定期的に受けておくといいと思います。
特に上記に挙げたような糸球体腎炎の
リスクが高い猫さんの場合には。